Dog Town Cup
JDDN Series

 
 
JDDNトークセッション 2008
【2008年11月収録】

1. 2008シーズンキーパーソン
2. 2008シーズンのトリックムーブメント
3. 米国ディスクドッグ事情
4. ヨーロッパディスクドッグ事情
5. 2009シーズンディスクドッグシーン
付録:2009注目チーム

対 談
平井 寧(YH)/酒井 寛(HS)


1. 2008シーズンのキーパーソン
HS:今日はJDDNの2008シーズンを締めくくって色々、やちに話を聞きたいと思っています。よろしく。

YH:色々聞きたいのはこっちのほうです。よろしく。早速だけど、今シーズンを通してキー(核)となったプレーヤーは誰だったかな?

HS:秋ヶ瀬でDDCアリエルのエース円谷&モノが勝って、このチームの独走かなという感じだったけど、そのあとのアリエルチャンピオンシップで平井俊介&シャックの逆転優勝があって、今年の流れが一気に変わりましたね。

YH:同感。去年のUSDDNの活躍で、円谷&モノが熟してリードするかな?と思っていたけど、実際は俊介&シャックが、トスフェチ、フリーでまんべんなくポイントをとって初優勝した。あの時、不思議だったのは、各クラブの女性陣が一緒になって涙を浮かべていた事。クラブを超えてみんなが応援してくれるこういうプレーヤーが出てきたんだと印象的だった。
そうそう、今年の秋ヶ瀬では、2年前のDTCチャンプの小西&トアの開始数十秒でトアのケガによるリタイアだった。コイツ、ディスクドッグやめちゃうんじゃないかなと思ったよ。
  HS:え!そんな、ひどい状態だったんですか?

YH:途中でプレーを中断したわけだからね、それも去年から何度かあって、立て直して今度こそ今度こそと参加して、やっぱりケガが出たわけだから。犬の欠陥に近いものなのか、それとも管理レベルのものなのか?その時点で一旦、小西&トアが消えた。
秋ヶ瀬とアリエルCSで2位になった松浦&パム。前半、調子よかった。実は、春にアメリカに僕と松浦と俊介の3人で行って、俊介だけがクオリファイできなかった。向こうで涙を流すところをアメリカの連中にも見られて慰められていた。
そんな悔しいシーズンの始まりだったけど、2008年、頭角を現していった。北海道で石川&チョウチャンに負けたり、ダブルトロフィーでまた、円谷&モノに負けたりでスランプがあったけどね。最終的には俊介を中心にJDDNが回っていったって感じ。その間に他のチームが追いかけてきたけど、そのたびに新しい事をやって周りを驚かせてきたね。

HS:今までと、全く違うタイプですよね。

YH:そうそう、新しいタイプだね。ゲームのたびに何か新しいことをやってくる鮮度勝負のルーチン。見ていて楽しい。これからまだまだうまくなれる要素を持っているのにもう勝ち始めている。危うく、世界チャンピオンになるところだった。(笑)
ここまで名前が出たのは、俊、Tsub-G(円谷),松浦、小西、他は・・・


HS:後半は伸びたのは木村&ナツですね。

YH:そうそう、途中まで停滞しているかなと思っていたけど。仕事上がりの投げ練、毎日300〜400本投げて、得意のスローにさらに磨きをかけた。最終的にはその努力が彼を成功に導いていった。
USDDNインターナショナルファイナリストまでいった。すごい成績だよ。


 
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HS:木村&ナツも、今までと全く違うタイプのプレーヤーですよね。真面目に努力で勝ち取るタイプですね。

YH:うん、天才肌ではないね。その分、みんなの共感も得られる。そうなってしまえば、本当の実力になる。DTC予選ラウンドを終わって1位だったからね。
あと、清水&半蔵。彼は、3〜4年前から名前を知られたチーム。派手なルーチン、犬自体も能力が高いので、常に優勝候補なんだけど、停滞していた。奥さんの清水&マリンの活躍もあって、かすんでいたけど、才能的には非常に恵まれたチームだと思う。
だけど、勝つという強い意識を持たなければだめ。勝つための手順を一つずつ踏んでいかなければね。


HS:彼の場合、最初が順調すぎたんですよね。やる事なす事上手くいっていたけど、勝てなくなってきたら何をしていいかわからなくなってきたんだと思う。

YH:よくある話だけど、もっと実績をあげて欲しい。

HS:今年も残念賞ですね。あとは、竹原&ターボが目立っていましたね。来年が楽しみです。

YH:ヒロのマトラもそうだけど、第3世代の台頭が楽しみだね。あとは、気になった選手はいた?

HS:ランブルドッグスの宇佐美&コニス。

YH:あの人は、頭はいいし、努力の仕方を知っているので、ちゃんと計算して順調に伸びている。運動神経も良いしね。あの年齢でスピードも技のキレも誰にも負けない。コニス
も速くてキャッチがうまい。


HS:木村&ナツといい宇佐美&コニスといい、ランブルドッグスが今年、花開いたって感じですね。

YH:う〜ん、かなりいい成績だけど、まだ来年かな?(笑)
  HS:それでも、ランブルドッグスは、QC+カップ以降、本当に目立ってきましたね。JOTTでは松浦&パムも強烈なルーチンを決めてランブル勢が上位を独占していましたね。

YH:確かに。それは、USDDNに行くぞという意思の力だと思う。矢口&マウや木村&ナツは、それで力をつけた。そして、日本に残った宇佐美&コニスも負けじとさらにレベルアップした姿を見せつけていたね。松浦も帰国後すっかりルーチンをバージョンアップしてひとつ大きなハードルをこえたみたい。
反対に、バウンドバウのエース、清水&マリンがトーンダウンしたね。シーズン前半はさすが!というプレーだったけど、ルーチンもだんだんゆるんできた。


HS:それは、本人が言ってたんですけど、アメリカに行った余韻で半年は持つそうです(笑)

YH:あはは。でも、本当はもっとトップクラスにいる人だよね。去年のアメリカでは大人気だった。
そうそう唐突だけれど、本当のトップクラスのチームと、条件が合えば上位に行くチー、ムとがいると思う。
例えば風。すごく素敵な完成されたルーチンだけど風が吹くと、弱いタイプが清水&マリン、竹原&アッカとか。
逆に風に強いタイプは、小西&トア、俊介&シャック、木村&ナツがいる。地道な努力の成果だね。で、やっぱり、最終的に風に強いチームが勝ったね。半年のブランクの後、復調を遂げた小西&トアはアメリカでも評価が高かった。若い女性とマリノアのミスマッチも受けていたし、復調したトアの大きなジャンプも観客が唖然としていた。



あと、ずっと下位に沈んでいた辻山&ノンは不思議だね、一瞬きらめく時があるんだけどね。何でだろう?



 
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HS:でも、ああいうタイプのプレーヤーは好きですね。ディスクドッグ自体を家族で本当に楽しんでいる。ま、僕もそうだけど、勝つ事を最優先事項においていない。もちろんちゃんと闘っているけれど。こういうプレーヤーも貴重だと思います。

あと、四国勢はどうでしたか?

YH:それぞれ、ポテンシャルの高さを示してくれた。SDDCの吉岡&ハヤテはもっとやれると思っていた。去年のUSDDNのD2で勝っているしね。残念賞だな。でも、今年から関東に出てきた四国のニューネームたちは来年が楽しみ。何といっても四国勢は山崎を筆頭にスローイングが安定している。四国勢ではないけれど姫路の中山のポテンシャルは凄いよ。

HS:楽しみだなあ。あとは、北海道(ラブキューブ)の吉田&チーコが輝いていましたね。

YH:チーコのポテンシャルの高さと、元々、実力のある吉田が出会った事で優勝を狙えるチームになった。

HS:DTCで初めてみて、びっくりしました。

YH:ラブキューブの代表の石川&チョーチャン。まず、シャックのベースをあそこまでつくった人。また、それ以上にチョーチャンを作り上げたトレーナーとしての能力はすごいね。ただ、プレーヤーとしては、ハートの弱さがあるけど(笑)

HS:去年くらいから、速くて高く跳ぶ、いわゆる「スーパーボーダー」が台頭してきました。そんな中で、シャックやチョーチャンみたいな犬が出てきて、ああいう犬が勝ったらおもしろいだろうな〜と思っていたら、本当に勝った。スーパーボーダーなのに「スーパー」に見せない、みたいな。

YH:中くらいのプレイドライブ、中くらいのフィジカルの犬が、人と遊ぶ事を楽しむのが石川ブリードの特長だね。かつて世界に名をはせた宮田&マーチのマーチも石川ブリードだしね。
 
  特に俊介はシャックと遊びながらケンカしながらルーチンをつくっている。

 HS:ディスクドッグのもう1本の柱(トレーニングのスタイル)を作りましたね。

YH:面白いところに立ったよね。みんな何かを探し始めている。ただ、最後は正しいオビディエンスに向かうような気がするけれどね。

HS:俊介君の登場は、すごい影響力だと思います。みんな、脳みそを使ってルーチンを考えるようになった(笑)ただ、ボルトして走らせて、じゃなくて。これは、本当に大きな変化だと思いますね。

YH:賛成。今年伸びたのは、宮代&JJだね。元々、実力者ではあったけど、JDDNを代表するプレーヤーになった。なによりトスフェチが安定したと思う。

HS:常にTOP3にいますからね。今のJDDNで、この位置はすごいと思う。

僕は、個人的に、ベリーベリードッグの金谷&ユータですね。

YH:そうだね。派手なものは無いけど、聡明なルーチンを組んでいる。ベテランの味が出ていた。

HS:必ずしもトップを取らなくても素敵な場所がある。そう言う事を示してくれました。

YH:思わず拍手を送りたくなるよね。

あと、吉岡&リッサ。ベテランになりつつあるね。もっと上位に来るべきチーム。自分に合った自分のルーチンを見つけるべきだ。


HS:個性的なプレーヤーの多い中で、もっと自分を出して、勝負ポイントを見つけて欲しいですね。
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YH:宮代&ソフィーはどう?思うに、あとは、コミュニケーションかなって。犬はディスクをみて、人は犬を見てかみ合わないまま、能力だけでやっている感じだ。もっともっと上にいけるはず。でも、見ていて楽しいチームだね。

HS:同感ですね。でも今年、一番目立ったチームは、平井&BEEでしょう。Wトロフィー、DTCでは、最高のものを見せてもらいました。

YH:ありがとう。でも、今年も体調不良とはいえ、結局、タイトルはサザンナショナルだけ。普通にやれば誰にも負けないとは思う。もう、涙もでないな。

2. 2008シーズンのトリックムーブメント

YH:2008年、目だったトリックムーブメントはどうだったかな?スクートを使うチームが増えたけれど。結果としてプロモーションの幅が増えたね。


HS:それと、フットスツールをやる日本人(俊介、石川)がついにでた、というのが印象的でした。アメリカ人がやっていたのを見て、遠くに感じていたけれど、彼らはそれをさらに進化させていった。

YH:今年最大のトリックムーブメントを起こしたのは俊介だね。フットスツールを使うプレーヤーは結構いるけど、サムシングニュー用意したのは俊介だけだったもんね。世界中にインパクトを与えた。ただ、これも鮮度が命なので、常に、次をイメージしておかないといけない宿命があるね。

HS:大変ですね。

YH:あとは、アップサイドダウンを使う人が増えたね。

HS:昔は、犬が取れない、っていう印象だったですけど。松浦&パムのは凄いですね。

YH:あれは例外。石川や小西がジグザグで使っているやつがスタンダードな使い方。昔、塚崎選手や早川選手が上手に使っていた。その意味ではリバイバルかもね。
  HS:使い方は違いますけどね。

YH:確かに。それより、俊介&シャック、矢口&マウ、吉岡&リッサのリズミック(マルチプル)ムーブ。連続キャッチなんだけど、1つ1つ形が違う。アメリカでも受けていたよね。
色んな投げ方、ディスクのデリバリーを新しい発想でやっていた。後半、円谷&モノもやっていたね。


HS:やっている人とやってない人の差が出ますね。ギャラリーとしてみると、面白かったですよ。

YH:うん、ルーチンの安定感がでるね。それから、中山&キャナがやっているようなダンスムーブがもっとくるね。彼女がやると、ダンスドッグの気取った感じじゃなくてハッピーないかにも楽しげな雰囲気で会場が明るくなる。トレーニングとしてはオビの応用だね。クリッカートレーニングをしっかりやることが大事だ。それも、人が踊るのではなく、正しく犬を動かす事だね。

HS:今までの、投げて走って取れば良いということで何十年やってきたのが、変わってきましたね。

YH:それが顕著になるだろうね。何度も言うけど、人間が踊るのではなくてね。(笑)

HS:犬をコントロールする能力を問われますね。

YH:あくまでも犬を動かし、犬とシンクロすることが大事だ。ディスクドッグはいかに自分の犬(能力)を素敵に見せるかを競うスポーツだからね。




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3. 米国のディスクドッグ

YH:僕は10年くらい行っているけど、ヒロも2年連続でアメリカに行っているし、昔の状況も知っていると思うのでわかると思うけれど、98年以降のアメリカのプレーヤーはヘタクソだった。(笑)でも、最近は、トレーシー・カスター、マーク・ミヤー、トニー・ホアルド、プレストン・ディーンらが戦略的に戦っているというのが印象的だね。
だけど、今年、戦略で負けたのがトレーシー。今年のフィールドは、地面が草で、ギャラリーに囲まれたコートの大きさの分かる会場で小さめのルーチンだったので、見栄えがしなかった。トリミングされたビデオの中で見るプレーとしては、最高なんだけどね。
反対に、マークはコートを大きく使い、ギャラリーを味方につけ惹き込んだ。大きなプレーで最後はUSDDNインターナショナルファイナルで勝った。
1日目は、風に負けて俊介にやられちゃったけどね。(笑)
フィールドの状況によって、戦略は変わる。ついにそこまで、アメリカ人は考えてきた。マークを破るのは容易ではないと感じた。Beeならできるけど。(笑)


HS:トレーシーは3頭クオリファイしていて、ルーチンが一番小さいキャトルで勝負に出てきましたからね。一番小さいプレーを彼女があえて選択した、と、いう事でしょう。
そうそう、写真を撮っていても、トレーシーは撮りやすいですね(笑)
人間との距離が近くて、予測がついて、トスがしっかりしている。

YH:正しい会場では勝てないと思う。

HS:賛成。
  YH:Jeffなんとかっていうカリフォルニアのプレーヤーが印象的だったね。西海岸の空気感があり、ディスクドッグライフを楽しんでいるな〜という印象だね。ただ、勝負となるとかなり難しいけどね。

HS:後は、ブラシ系が多かったですね。
日本でも、これからやる人が出てくるかも。

YH:フローレンスのプレーは10年前から全然変わっていない。論外。あいかわらずスローイングは上手だったけれどプレーにかびが生えている。
速くて大きいルーチンをやる人はほとんどいなかったね。

HS:でも、要所、要所で日本人を参考にして取り入れていますね。マークとプレストンのパッシングプレーは完全に日本のルーチンを意識していたと思う。それから、去年の桐沢&JETの曲と、プレルーチンをやっている人がいましたね。

YH:何人かいた。(笑)

HS:それだけ、衝撃的だったんでしょうね

 
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4. ヨーロッパのディスクドッグ

HS:今回、USDDNにはヨーロッパの選手が何人か来ていましたが、やちがヨーロッパ予選会でジャッジした時の印象、ヨーロッパの現状を教えてください。

YH:ヨーロッパの選手は、スローイングが上手だね。ほぼどんなスローでもやれる。ロン・ワトソン的なプレーだ。

HS:ヒューマン出身なんですか?

YH:いや、ディスクドッグの人なんだけどね。ただ、犬が取れない。(笑)犬が取れないスキルはヘタだということ。そんな話をしてきた。
そんな中で、ダリウスは、華麗ではないが犬が取れるディスクが投げられる。安定感があて好感の持てるプレーだったね。
それ以外は、地味だけど、知識があれば上手くなれるような人や、ダンスムーブが上手な人、ルールを理解すれば上位になれそうなチームが何チームかいたよ。
そういう意味で大きなポテンシャルを感じた可能性のあるエリアだと思う。ディスクドッグのフリースタイルを理解することですぐに追い付いてくると思う。


HS:ディスクドッグが、アメリカで生まれて30年。日本に入り、ヨーロッパの普及が遅れたのは何でなんでしょう?

YH:情報を受け取るスピードの差だと思う。日本は常にアメリカにアンテナを張ってるからね。ヨーロッパも最近は、インターネットで情報交換をし始めていて、こういうスポーツを通じて各国が交流をしている。
単に出遅れただけ。あとは、経済も関係していたと思う。


HS:元々、犬文化はヨーロッパのほうが歴史はありますからね。

YH:そうだね。今ある犬種のほとんどを作り上げたのはヨーロッパ人だからね。そういった下地は日本人がかなわない部分があると思う。
  HS:マーカス・ウルフは、僕は見たことないんですけど。

YH:コイツは強烈に上手いよ。世界で三本指に入るフリスビードッグが上手いヤツかも?
ただ、ハートが弱いんだ(笑)だから、なかなか奥さんのサビーヌに勝てない。今年はダークホースの年をとったマリノアで勝ったけれど。特にスローイングスキルが凄い。これは本物。
サビーヌは、ちょっと今年は怪我をして調子が良くなかったみたいだ。

HS:ヨーロッパでやっている人は裕福な人なんですか?

YH:いや、色々だよ。
ただ、それぞれの国のオピニオンリーダーたちが出ているし、彼らにとっては大きなビジネスチャンスでもあるから真剣だよ。各エリアのプロたちが真剣に取り組んでいるよ。


HS:大会運営も大変ですよね。言葉も何ヶ国語もあるし。

YH:うん、大変だ。英語とドイツ語、ポーランド語にチェコ語、時々、ロシア語が飛び出してくる。プレイヤーズミーティングだけで疲れてくる。ただEUの関係で国境はなくなっている。でも、犬のパスポートがあるんだよ。

HS:えー!(驚)
それで、検疫無し、みたいな感じですか?

YH:うん、そう。ヨーロッパ予選は、13カ国が参加していたよ。スロベニア、チェコ、ドイツ、スペイン、ロシア、ポーランド・・・

HS:まさにインターナショナルファイナルですね。
今年は、特に感じました。

YH:ゆくゆくは、ヨーロッパでインターナショナルファイナルをやるのが良いんじゃないかと思っている。大いなる可能性を持っているエリアだよ。次の世代はヨーロッパの選手を破らなければならない時代がくるだろう。
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5. 来シーズンのディスクドッグシーン

HS:来シーズンの予測、希望をかねてお願いします。

YH:せっかく出た若い世代、これをつなげていきたい。新しい人たちにこの世界に入ってきて欲しい。
JDDNに関して言えば、このまま俊介&シャックで中心に進むのか?それを誰が引き摺り下ろすのか?引き摺り下ろすポテンシャルを持っているチームはたくさんある。小川&J、清水&半蔵、桐沢&JET、石川&チョーチャン、吉田&チーコ、竹原&ターボ、木村&ナツ、宇佐美&コニス、円谷&モノ、宮代&JJ、勝目&リト、小西&トア、清水&まりん、だれが優勝してもおかしくない。激戦であることは間違いない。


HS:おそろしいですね。

YH:それにまだ見ぬ強豪が現れるかもしれない。この人たちに共通しているのは、トス&フェチが安定している事。ルーチンが、ほぼまとまっているということ。

HS:今年のUSDDNのリザルトを見ても、トス&フェチ18ポイント当たり前ですからね。上位に行くには、そこははずせませんね。
JDDN3大タイトル、それぞれチャンピオンが変わるっていうこともありますね。
僕はドグタウンに参加して7年になりますが、最初は毎年一人、強い人が勝ってきましたが、今は、レベルが上がってきて横に広がってきましたよね。

YH:そうそう、1ミスが命取りになる。

HS:もちろん勝つのも難しいけど、そのポジションに来るのも難しいですね。今は、あまりにもその部分が強くなって、初めての人がたじろぐ傾向にあるので、その下のクラスがあるといいですね。

YH:D2でも敷居が高くなっているからね。

HS:2008年は、地理的に見て、どの辺がきますかね?
  YH:ポテンシャルが高い四国には期待したいね。ただ、それには、もう少し、知識と経験が必要だね。
北海道は、立花シフォンのように自信さえつけば、優勝できる選手がいる。だが、北海道の弱点は、小西、竹原、石川、高岩は皆フリーの優勝経験のあるビッグネームだということ。ヘタッピがいないんだな。(笑)
そういう意味では、新しい人に入ってきて欲しい。


HS:競技人口を増やすには、底辺の充実ですからね。

YH:ま、ずっと、こんな感じだと思う。大きく膨れはしないけど、少しずつ増えていくと思う。
フリースタイラーといわれる人は、ほとんど首都圏にいる。そこからちょっと外れた長野、宮城、福島の人たちが、そろそろ始めるのではないか?始めようとしたら練習場所はある。ところが、都会人は、練習場所の確保が難しい。これからは、地方の時代だと思うよ。
地方の人たちが始めると人口は増えていくと思う。北海道や四国の中村のように練習環境に恵まれているところは成長のスピードが速いしね。
日本のフリースタイルは、群馬と千葉(NPA)に二つの核があり、地方の盛り上がりを吸収できるので強いと思う。


略 日本のフリスビードッグ界の話

HS:僕は、初めてフリスビードッグを見て「カッコイイな〜」と思って始めました。
そういった、ギャラリーに対するアピールをどんどんしていかなければと思いますが。

YH:偶然見に来てくれた人たちに対するアピールが必要だね。

HS:日本には複数団体がありますが、統一するようなイベントが出来るといいですね。

YH:何年か後には、そういう時代が来るような気がする。それには、団体の壁を切り崩すようなプレーヤーが出てくる必要がある。
それで、名前を売って、仲間を作っていくような。
 
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HS:元々、壁はないんですけどね(笑)ルールのギャップでしょうか?

YH:ルールのギャップなのかジャッジングのギャップなのか?(笑)
この人が勝たなくては!というルールを越える説得力のあるプレーヤーが出てきてくれば、ルールやジャッジングの壁は溶けだすと思う。スポーツシーンを作るのはプレーヤーの役目なので、団体を超えてどんどん出て欲しい。


HS:来シーズンの傾向で、技的にはどうでしょう?

YH:ダンス(フリースタイル)ムーブがもっとくると思う。プロモーションやリズミックマルチ。慌てるのではなく、テンポ良く展開していく事が重要。ただし、スルーエイトですら足をあげているようではそのチームの底が見えてしまう。
それから、リリースリバーシティ。スローイングスキルをあげるということ。風に負けないスピンのきいたディスクを投げる事。そういうプレーヤーがもっと増えて欲しい。そしてそれが犬をつくる。強い犬を作るためにもスローイングの意識を強く持って欲しい。それには練習が必要。
今、言った2つのことは、練習の質と量が必要だね。

HS:遠隔はどうですか?

YH:実は、新しいことでなく回帰なんだ。また、見直されている。でも、まだ早いかな?

HS:ブラシ系はどうでしょう?

YH:120秒のルーチンの中に、1、2発くらいあってもいいね。

HS:ヨーロパは、色んな犬種が出ていましたが。

YH:キャトルドッグ、オーシー、ポーリッシュ、ミックス、マリノア、小型犬に出てきて欲しい。

HS:来年ということではなく時間はかかりますが、出てきて欲しいですね。

YH:そういうチームが出てくると、違ったルーチンになるしね。

HS:ギャラリーとしても面白いですね。

YH:僕としてもボーダーにこだわっている訳でないので、面白い犬が出てきたらやりたいね。犬種のバリエーションは増えて欲しいね。

HS:JOTTについてですが。


  YH:今はっきりしている目標は、USDDNだけど、それとは別に日本チャンピオンを決めようという感覚で始めた。
年に1回の賞金ゲームで、最終的には、JOTTで優勝すれば、翌年のディスク代はタダになる位に育てて生きたい。スポンサーもつけたい。
そして、各団体のチームが集まってくるようにしたい。それが、団体の垣根を越えるきっかけになればいいと思っている。


HS:ディスタンスに関しては、AJPCがありますからね。


付録 2009注目のプレーヤー

HS:2009年の注目のプレーヤーは、いますか?

YH:木村&プリーマ。キャッチの上手い犬だし、スローも上手い人なので、ルーチンさえ固まり自信さえつけば上位に来るはず。
紅林&エバ。ポテンシャルがでかいからね。彼は、犬にとって心地よいスローを投げられる人だから。
あとは、竹原&ターボ、宮代&ソフィーが、どこまで伸びてくるか?勝ちたい!と思いさえすれば上位に来るチームだ。
忘れてはいけない(笑)酒井&マトラ、でっかい可能性を感じる。目の良い犬だから、キャッチは上手い。大きいプレーをして欲しい。


HS:アメリカで見てきたものを参考にやりたいですね。考えぬいたルーチンをしたいと思っています。
僕は、九州勢も期待してます。

YH:うん、安田を中心にクラブを立ち上げている。自信がつけば、でてくるだろうね。

HS:九州は、地理的にハンデがあるけど、それだけにまだ見ぬ怪物がいるような気がします(笑)

YH:うん、いるよ。今年は、ディスクドッグ自体の流れが大きく変わった年だった。僕は、JDDNを通じて常に新しい情報を発信しているつもり。来年も新たなムーブメントが起こると思う。JDDNだけでなく多くの団体のプレーヤーたちもきっと耳を傾けてほしい。
来年もJDDNから目が離せないよ。


平井 寧 プロフィール
日本唯一のドッグスポーツのプロショップ『ドグタウン工房』を主宰する。 犬ぞりとディスクドッグの現役トッププレイヤーでもある。JDDNnetwork代表

酒井 寛 プロフィール
バウンドバウディスクドッグクラブ代表。
ドッグフォトグラファーとしてファインダ−を通した冷静な眼と、プレーヤーとしての熱い心を持つ。JDDNnetwork広報担当
 
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